患者さん満足度

クリニックの経営を左右する「患者満足度」を向上させるポイント

公開日:2022/02/10

インターネットが普及している昨今、スマートフォンやタブレット端末さえあれば、いつでも付近のクリニックや病院を探すことができます。
立地や口コミなどが瞬時に確認できるシステムは、受診する側からすれば非常に便利ですが、医療機関側には選んでもらうための工夫、他院との違いが求められます。
そこで一つの指標となるのが「患者満足度」です。
患者満足度とはどのようなものなのか、満足度を向上させるにはどのような方法があるのかについて知っておきましょう。

そもそも「患者満足度」とは

患者満足度とは、その名称の通りクリニックや病院を受診した患者さんが、どの程度満足したか、あるいは不満を抱いたかということを示したものです。項目がいくつか用意されており、定期的に集計することで、実際に患者さんがどの点に満足し、どの点が不満だったのかということが分かります。

しかし患者満足度調査は、満足度を知ることだけが目的ではありません。そこに示された結果を業務に反映させ、よくない点に対してはしっかりと改善策を講じる必要があります。
そうして次回の満足度が向上して初めて、患者満足度調査が意味を成すのです。

そもそも、なぜクリニックにおいてそこまで満足度が重視されるのでしょうか。
それは、医療機関の主体は患者さんであり、患者さんが「満足」されることがを患者さんのエンゲージメントを向上させ、結果的にクリニックの長期的な成長に繋がるからです。
クリニックをかかりつけ医としてくれる患者さんを増やして、安定した運営を行いましょう。

患者満足度の調べ方

患者満足度調査は、結果を数値化できる採点式のアンケート調査が一般的です。
中には自由回答方式の調査もありますが、具体的な意見が得られる一方で、手間がかかることから回答率が低くなる傾向があり、集計もより複雑になります。なるべく多くの回答を得るためには、丸つけ方式やマークシート方式など、誰でも参加できるシンプルなスコアリング様式がいいでしょう。

一方で、患者満足度調査を実施したものの、集計や分析を行い、さらには業務に活かせていないというクリニックは多いのが現状です。集計や分析は、調査の中で最も手間と時間がかかる作業で、業務終了後などに手軽にできるものではありません。
そこで、WISHealthではアンケートの計画、実施から調査を一括して可能な支援システムを開発・販売しています。こういったデジタルツールの導入を検討するのも一つです。継続的にアンケートを取得しながら、作業の省力化を図ることは、現状を把握し患者さんのエンゲージメントを向上させる近道とも言えるでしょう。

また、最近はGoogleMapをはじめ、さまざまなサイトでクリニックに関する口コミやレビューが投稿されています。クリニック内で行う患者満足度調査とはまた違った、より具体的な患者さんの意見を知ることができるいい機会です。さらなる改善点を探すつもりで、それらも併せて確認しておきましょう。

患者満足度に影響するポイント

受診した患者さんの満足度に関わるポイントは個別的であり多くありますが、中でも特に影響しやすい点についてご紹介します。

診断・技術

患者さんの満足度に最も影響する要因の一つが、医師やコメディカルの診断、技術、治療アウトカムです。
当然のことながら、的外れな診断や不手際な所作は、患者さんに不信感を抱かせる原因となってしまいます。患者さんの主訴から必要な検査や処置を見極め、段取りよく次のステップへ繋ぐことができれば、患者さんは安心して受診できるでしょう。

また、意外と多いのが「いつも同じ診断、同じ薬が出る」といった意見です。
診察する医師からすると、同じ症状なのだから当然、と考えるかもしれません。しかし「良くならないから受診したのに、同じことの繰り返し」と感じ、他院を受診する患者さんが少なくないのです。
コスト面だけでなく、日々の業務の忙しさを考慮すると、ゆっくりと耳を傾けるのは容易ではないこともあるでしょう。しかし、患者さんとしっかりコミュニケーションを取り信頼関係を構築しましょう。情報が溢れる昨今、患者さんの方も多くの情報を持っていると考えるのが妥当です。そのため、常にアップデートされた医療や治療が求められるのです。

インフォームド・コンセント

選ばれるクリニック・病院になるには、地域の人々からの信頼を得ていることが第一条件であり、その信頼関係を築くためのポイントとなるのがインフォームド・コンセントです。医師が病状やこれから行う処置などについて十分な説明を行い、患者さんはその内容を理解し、納得した上で同意して治療が進められるというプロセスのことを指します。
本来、このようなことは意識せずとも自然に行われるのが理想ですが、実際の現場では漠然とした不安を患者さんが持ったまま、同意書のサインをするケースも少なくありません。

病状の説明に治療の可能性、リスクなど一人ひとり丁寧に説明した上で同意を得る、などと言うと現場からは「そんな時間も余裕もない!」という声が聞こえてきそうです。しかし、そうした地道な積み重ねが患者さんの満足度に繋がっていくのです。

院内環境

初めて受診する患者さんに対し、最も大きな印象を与えるのが院内環境です。これは院内の清潔さや整然さだけでなく、スタッフの接遇面と身だしなみも含まれます。
中でも、患者さんが一番に接する受付スタッフの身だしなみや言葉遣い、対応は患者さんの満足度ばかりか、クリニックの将来にも影響を与えるポイントです。いくら医師の診察や判断が的確であっても、受付スタッフの対応の悪さから他院を選ぶ患者さんも少なくないのです。
とはいえ、他のスタッフの接遇面は後回しでいいのか、と言うとそうではありません。患者満足度を向上させるためには、クリニックのスタッフ全員がそれぞれ高い意識を持って患者さんに接することが大切です。

また、院内の掲示においても、丁寧に分かりやすく表示されているのが基本です。全体の案内図、診察室の番号やその日の担当医、処置室やトイレの場所など、誰もが見て分かる場所に適切に表示しましょう。

待ち時間

患者さんから支持をされ、人気の高いクリニック・医療機関であるほど待ち時間は長くなるため、クレームが出やすく、満足度も下がっていくジレンマがあるものです。この点は患者さんだけでなく、クリニック側も解決したいと考えている基本課題と言えるでしょう。
最近は、ウェブサイトの予約システムを導入が容易になり、院内で待つ時間は従来よりも短縮され、コントロールされている傾向にあります。それでも、内容によって診察順が前後したり、処置が長引いたりして患者さんを待たせてしまう事態は避けられません。そんな時、物理的に待ち時間を減らせない代わりに、お待ちいただく時間を効果的に使用することで、待ち時間を意味のある時間に転換する、という方法があります。
患者さんにとっていつまで待つのか分からない「不安な時間」、それを解消できれば待ち時間のトラブルも解消されるのです。

よく待合室にはテレビや新聞、雑誌などが置かれていますが、それよりも効果が高いのは順番表示と声かけと言われています。順番表示システムを使って院内に表示することで、患者さんはどれくらい待つのか予測しやすくなり、こちらからこまめに声かけをすることで「まだですか?」というクレームを減らすことができます。
気にかけている、待っている人数を認識している仕組みを構築して、患者さんの不安を解消しましょう。

また、お待ちいただいている間に疾患に関連する説明の動画や説明書をお読みいただく工夫なども効果的でしょう。

利便性

都心と地方でも異なりますが、利便性は経営状況に少なからず影響します。ホームページには必ずクリニックまでのアクセス方法や駐車場の有無を明記し、それらに加えて駐車料金や周辺の道路事情などを掲載すると、より分かりやすいでしょう。

また高齢化が年々進んでいる中、バリアフリー設備の有無も重要なポイントです。例えば、最近は一階が駐車場、二階が受付といった建物も増えていますが、誰もが気軽に受診できるクリニックを目指すのであれば、エレベーターの設置は欠かせません。
駐車場から入口、フロア、診察室に至るまで、患者さんが移動する視点に立った配慮が必要です。

まとめ

今回はクリニック・医療機関における患者満足度について解説しました。
手軽に情報が得られる昨今、患者さん側の評価がクリニック・医療機関の評判を左右すると言っても過言ではありません。また、診断や治療など「医療の質」だけが満足度に直結するわけではない、ということもご理解いただけたと思います。
定期的に患者満足度調査を行い、ハード面、ソフト面双方の質を向上させて、地域で選ばれるクリニックを目指しましょう。

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執筆

川勝歩
Founder & CEO, WISHealth
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